非常に観察眼のすぐれたコラムニストであるボブ・グリーン。
野村進さんの推薦で読んだ。
新聞社に入社以来ずっとコラムを書き続けてきたスターの傑作選。
(天声人語ベストセレクションみたいなものか?)
これが面白くないわけがない。
(抜き書き)
いまの自分は手紙を書くことができない。もうずいぶん前から気づいていることだが、私にとって、ひとりの人間に手紙を書くことは、新聞に書くという行為とひきかえに捨ててしまった技術なのだ(両親との思い出を述べるなかで)
コラムニストというのはこんなにも正確に人の気持や心の動きや人生をとらえることができるものなのか(先輩コラムニストとの思い出を綴ったコラムで)
フランク・シナトラの息子であるということと、歌う場所をいつけるにも苦労する歌手であるということを、どういうふうに自分のなかで折り合いをつけてきたのか
(同氏へのインタビューのなかで)
キャロルは手のなかで指輪をしっかりと握りしめて、列に並んでいる人々の人生について思いをめぐらせた。高校時代あれほど希望にあふれていた少年や少女は、いったいどこへいってしまったのだろうか。記念指輪を買ったときの埃は、どこへ消えてしまったのだろうか(記念指輪を買い取る列に並びながら)
抜き書きでもわかると思いますが、とにかく文体がおもしろい。
文章修行を兼ねて、定期的に読み返してます。
(現在3周目)
1980年代にアメリカンコラムブームを巻き起こしたらしい。
現在絶版だが、中古市場でも図書館でも簡単に手に入るので
手にとってみてください。